自源寺(じげんじ)

寺院 (Temple)福島(Fukushima)

〒967-0321 福島県 南会津郡 南会津町 井桁109

駐車場:無料駐車場がある。


 

自源寺は、真宗高田派(しんしゅう たかだは)の寺院です。

 

 

入り口は境内の北側と、西側にあります。写真は西側の入り口です。

 

 

自源寺の寺号標です。冬になると雪に埋もれて見えなくなります。

 

 

佐倉山十善堂(さぐらやま じゅうぜんどう)には、八代目・照円(しょうえん)和尚が夢のお告げで地面から掘り出した「子育て地蔵」が安置されています。このお地蔵さまに願をかけると、子供を授かったり、元気に育つと言い伝えられています。

 

 

自源寺の本堂です。右側に見えるのは六地蔵堂(ろく じぞう どう)です。

 

 

この地域は昔から冷害と不作に苦しみ、時には餓死者が出たり、やむを得ず間引きをした事もありました。浄土真宗に六地蔵を信仰する習わしは無いものの、亡くなった方や遺族を慰める為に、宗派を超えた祈りと願いを込めて安置する事になったそうです。

 

 

本堂の伽藍(がらん)と扁額(へんがく)です。

 

 

本堂の宮殿(くうでん)に、御本尊の阿弥陀如来立像が安置されています。

 

 

御本尊は平成23年に南会津町の有形文化財に指定されました。

 

 

この写真は平成27年に行われた文化財調査の際に撮影されたものです。撮影者は南会津文化財保護審議会・会長の小林宗一先生です。

 

 

こちらの絵像も自源寺の御本尊です。普段は大切に保管されていますが、報恩講(ほうおんこう)などの法要の際にお出ましになります。

 

 

本堂の右側には、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の坐像が安置されています。

 

 

坐像の隣には、親鸞聖人が選定した七高僧(しちこうそう)の掛け軸があります。上から古代インドの僧侶である龍樹菩薩(りゅうじゅぼさつ)と、天親菩薩(てんじんぼさつ)。中国僧侶の曇鸞(どんらん)、道綽(どうしゃく)、善導(ぜんどう)。そして日本の僧侶である源信(げんしん)と、親鸞聖人の師である法然房源空(ほうねんぼう げんくう)です。

 

 

本堂の左側には聖徳太子の掛け軸があります。親鸞聖人は聖徳太子が建立した京都の六角堂に100日間籠った際に、夢の中で啓示を受けたとされています。

 

 

本堂の左隣の部屋にも六地蔵が安置されています。

 

 

本堂の欄間には飛天(ひてん)の浮き彫りがあります。他の真宗寺院は透かし彫りが多いので、とても珍しいそうです。

 

 

本堂には浄土教の根本聖典である、浄土三部経(じょうど さんぶきょう)の古い巻物があります。浄土三部経とは、無量寿経(むりょうじゅきょう)、観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)、阿弥陀経(あみだきょう)の総称です。

 

 

特別に観無量寿経を見せていただきました。

 

 

経典の側にある箱の中には、親鸞聖人や歴代高僧が記した御書(ごしょ)が納められています。真宗高田派は、現存する御書の四割強を収蔵しています。

 

 

この地域は半世紀前まで土葬が主流であり、葬儀の際には棺桶の上にこれを乗せて埋葬場所まで運ぶ風習があったそうです。

 

 

この地域は2006年まで舘岩村(たていわ むら)と言いました。その村名は1889年に制定されたもので、その前は井桁村(いげた むら)と言いました。只見(ただみ)と呼ばれる地域では縄文式土器が出土しており、その時代から人が住んでいた事が分かっています。

それ故か、自源寺の歴史も相当に古く、1280年に源龍(げんりゅう)和尚が開山したとの記録が残っています。開山当初の自源寺は天台宗(てんだいしゅう)でしたが、1655年に本山・専修寺(ほんざん・せんじゅじ)に帰参しています。

自源寺は1676年に火事で焼失しており、約百年後の1764~1771年頃に現住所で再建されました。跡地の正確な位置は不明ですが、今でも岩下地区には自源寺沢(じげんじ ざわ)や、自源寺川(じげんじ がわ)という地名が残っています。

 

 

また、会津地方ではエゴマの事を「じゅうねん」と呼びますが、これは自源寺の源龍和尚がエゴマの種を撒く時に「十回、念仏を唱えなさい」と説いた事によるそうです。

 

 

自源寺の寺宝は、1466年に村の狩人が鳥獣供養として納めた法華経(ほけきょう)の巻物です。当時の自源寺は法華経を根本聖典とする天台宗の寺院だったので、この経典が納められたものと考えられます。

この巻物は、火災で生じた気流に乗って天狗岩社(てんぐいわ しゃ)付近まで飛ばされて、逆さ唐松(さかさ からまつ)と呼ばれる巨木の枝に引っ掛かり、夜な夜な光を発したと言い伝えられています。

 

 

天狗岩社(てんぐいわ しゃ)